読書感想 乃南アサ「鎖」
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ずいぶん前から、妻が「乃南アサ」さんの本を読んでいたのは分かっていたけれども、見た目、なんとなくわたし好みの作品ではないだろうと思っていた。 月並みだけど、見た目とかで判断しちゃやっぱりいけないね。
それで、もう少し正確に言えば、「読んだ」というよりは「聞いた」のだ。最近、何度か書いているAmazonが展開しているAudibleというサービスを使って聞き終えた。LEAFで上越と福島を行き来すると、充電の時間が入り、ずいぶん時間を使うのだが、退屈さを感じさせない。もっと運転したくなる。また、まだ到着しないで〜という気持ちになる。長距離ドライバーにとってはとってもとっても素敵なサービスだ。 このサービスを使って、聞き終えてしまった。めちゃくちゃ長い長編小説を。
この作品のいいところは、男社会の警察での日常を女性目線から、書いているところである。最初に音無貴子刑事が登場する凍える牙という作品ではここを強調し、かつ、離婚を経験した女性刑事というところを上手く取り上げていた。 で、本作品。
内容が違うので、凍える牙と比べても仕方ないだろうが、ズドーンと心の奥というか、闇に来る作品だった。うまいなぁ。本当に。スーパーな刑事ではなく、一生懸命に仕事を続けよう通っている女性刑事にいろいろと不条理な内容、出来事がどんどんどんどん飛び込んでくる。聞き手(読み手?)であるわたしは、もう、イライラするやら、次、知るのが嫌な感じになるやら、早くここはスルーしてほしいやら、いろいろな気持ちで過ぎていく。 この作品を映像化すると、単なる2時間ドラマの描写で終わってしまうかもしれない。(この音無貴子刑事を映像化したテレビドラマはいくつかあるようですね)しかし、知らないで過ごしてきてよかった。これからも、映像を見ようと思わない。たぶん、がっかりしそうな気がするから。わたしの貧相な頭の中で想像している「頭の映像」で記憶しておくだけでいいや。 日常とはかけ離れていないのだけれど、とっても、非日常的な感覚で書かれているミステリ。
人間関係や人間の心を丁寧に描写していて、今のわたしにはめちゃくちゃ面白く感じるミステリである。